サイバー攻撃の実態と注目銘柄について
被害額は約580億円と、史上最高額の“歴史的大事件”になりました。
インターネットが普及していくにつれサイバー攻撃による被害は年々猛スピードで増えており、家電製品も車の運転もお金もデータ化されつつある現在では
一度の攻撃だけで主要都市を壊滅状態にする事も可能
何も知らずに過ごしていると、とんでもない事件に巻き込まれるかも…。
という訳で今回はサイバー攻撃の実態と、実際に注目されていた銘柄についてまとめてみました。
唯一の対抗手段であるサイバーセキュリティは国が総力を挙げて取り組んでいる「国策テーマ」でもあるので注目です。
不正アクセス被害増大!サイバーセキュリティ関連が再熱
国内におけるサイバー攻撃の被害件数は年間で400万人超と、10秒に1人が被害に遭う計算になりますね。
日本は世界で4番目にサイバー攻撃の被害が多い国といわれており、特に不正アクセスによる個人データや企業の重要データの流出問題については度々ニュースになっています。
1.仮想通貨取引所のZaifに不正アクセス
不正取引の被害者15名、不正出金の被害者10名。
不正出金を受けた人は資産を根こそぎ奪われるなどの被害を受けています。
アクセス元が海外であるという事以外わかっておらず、漏洩に至った経路についても現在捜索中とのこと。
2.知多半島ケーブルネットワーク株式会社のWebサイトが不正改ざん
2018年1月12日、ケーブルテレビ局の知多半島ケーブルネットワーク株式会社のWebサイトを見ようとすると、全く別のホームページに飛ばされてしまう不正改ざんの被害を受けました。
幸いにも個人情報は別システムで管理していたため、流出の問題はなかったそうです。
3.幻冬舎に不正アクセスで会員情報が流出
2018年1月15日、出版社である幻冬舎のWebサイトが不正アクセスを受けました。
幻冬舎のWebサイトには脆弱性が有り、そこを突かれたことで約9万人の氏名やメールアドレスといった個人情報が流出したようです。
なお、クレジットカードや住所などの情報については流出していないとのこと。
4.新潟県立看護大のメールアカウントに不正アクセス
2018年1月15日、新潟県立看護大学の教授員のメールアドレスが第三者に知られ、約37万件の迷惑メールを送信する為に不正利用されました。
また、不正利用された教授員のパソコン内に入っている個人情報なども流出した可能性があるとしています。
5.コインチェックに不正アクセスし約580億円分の仮想通貨が流出
大手仮想通貨取引所であるコインチェックが不正アクセスされ、顧客の仮想通貨が不正出金し、奪われる事件が発生。
被害額は日本円観戦で約580億円にものぼり、仮想通貨史上最大の被害額となります。
本来口座情報はインターネットから隔離されている「オフライン」で管理を行うのですが、コインチェックは口座情報を常にオンラインで管理していたため、そこを突かれることになりました。
2018年1月だけでもこれだけの被害報告が確認されていますが、報告されていないものも含めると、とてつもない数になりそうですね。
特に最近では仮想通貨の認知度が上がるにつれて被害も増えてきました。
仮想通貨とはその名の通り、仮想空間(インターネット)のお金。
つまり仮想通貨の流出は銀行のデータをハッキングし、現金を盗み取っている事と同様になる訳です。
世界最大の強盗事件が1990年に起きたロンドンの債権強盗事件で、約600億円相当の債権が強奪されたとありますが、コインチェックの仮想通貨流出事件は世界記録同等の大事件だったということです。
2018年1月に買われたセキュリティ関連銘柄
2017年はビットコインを筆頭に、仮想通貨が大いに盛り上がったことで「仮想通貨バブル」なんて呼ばれていました。
仮想通貨市場が拡大していくにつれてサイバー攻撃に対するセキュリティ関連銘柄の需要も拡大しています。
仮想通貨に関するネガティブなニュースが報道された際には特に大きく株価が動いていますね。
【8023】大興電子
2018/01/04 安値:1,301円
2018/01/22 高値:1,597円(+22.75%)
※上昇理由※【3054】ハイパーが「米政府機関で18年間破られたことがない革新的なサイバーセキュリティ技術」を謳う「AppGuard」の提供開始が材料視されましたが、同じ「AppGuard」関連である【8023】大興電子にも買いが集まったようです。
なお【8023】大興電子は2017年9月26日にテレビで「AppGuard」が紹介されたことで、株価を2.7倍にまで増やしました。
【3968】セグエグループ
2018/01/09 安値:2,000円
2018/01/29 高値:2,442円(+22.1%)
※上昇理由※サイバーセキュリティが話題であがるにつれ、24時間体制でインターネットの管理を行えるのが強みの当銘柄にも買いが集まったようです。
過去にもサイバー攻撃が問題になる度に株価を上げている事から、非常に人気があるのが分かります。
【3042】セキュアヴェイル
2018/01/22 安値:687円
2018/01/30 高値:956円(+39.15%)
※上昇理由※こちらも【3968】セグエグループ同様、24時間365日体制で管理を行えるのが強み。
今回のコインチェック騒動によって、24時間サポートに関する企業に注目が集まっていたようですね。
特に【3042】セキュアヴェイルに関しては1株1,000円未満という購入し易さも、買いを集めた理由だと思います。
【3967】エルテス
2018/01/04 安値:1,987円
2018/01/19 高値:3,190円(+60.54%)
※上昇理由※エストニアにある「CYBERNETICA社と本人認証システム技術を共同で開発をする」と発表したことが買い材料となり、注目を集めたようです。
エストニアと言えば日本のマイナンバー制度のモデルになったIT先進国であり、その高度なセキュリティ技術を日本でも開発できるとなれば期待値は非常に大きいのではないでしょうか。
【3356】テリロジー
2018/01/10 安値:327円
2018/01/29 高値:462円(+41.28%)
※上昇理由※業務提携契約している【2315】カイカが【3356】テリロジーの株式を一部取得したことが材料となりました。
【2315】カイカは、今後仮想通貨ビジネスで主導権を握るためにも、業務提携を「より強固なものにする必要がある」として今回の件に至ったようです。
こちらは1株500円未満の低位株である事も、買いやすさに繋がったのではないでしょうか。
【3920】アイビーシー
2018/01/04 安値:1,090円
2018/01/29 高値:1,750円(+60.55%)
※上昇理由※2017年12月に「ソフトウエアのみでIoTセキュリティーを実現できる画期的なサービスの実証実験を開始した」と報道があった後に一度S高をつけ、大きく株価を伸ばしたことで話題になりました。
【3920】アイビーシーは「業界で唯一IP全体の可視化ができる」と謳っており、仮想通貨が浸透し始めてからは、コインチェクのNEM流出騒動以前から注目されています。
これはあくまでも一部ですが、1月だけでもこれだけの銘柄が買われています。
元々仮想通貨の話題性が強かっただけに、これまで見向きもしていなかった投資家にまで注目されたことはとても大きいですね。
サイバーセキュリティ関連の今後の動向
仮想通貨バブルによってサイバーセキュリティ関連に注目が集まっていますが、何も需要が出るのは仮想通貨に関するものだけではありません。
例えば2020年には東京オリンピックが開催されるのですが、政府は激しいサイバー攻撃に備える必要があります。
実際、2016年に行われたリオデジャネイロオリンピックでは、2012年のロンドンオリンピック時の“約5倍以上”のサイバー攻撃を受けました。
また、2017年の5月に起きたマルウェアを使用したサイバー攻撃「WannaCry」では世界規模の被害が出ています。
今やどんなものでもインターネットに繋がるIoT時代ですから、ほんの少し油断しただけでもそこから瞬く間に広がり、手に負えなくなる可能性だって十分考えられる訳です。
インターネットがなくならない限り、サイバーセキュリティの需要もなくなることはありません。
後は各サイバーセキュリティ関連銘柄が持つ“強み”を理解し、買い付けのタイミングさえ間違えなければ、比較的手堅く利益を狙えるテーマ株だと思います。